カーリン

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カーリン
品種 サラブレッド
性別
毛色 栗毛
生誕 2004年3月25日
Smart Strike
Sherriffs Deputy
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者 Fares Farm Inc
馬主 Jess Jackson
Padua Stable
George Bolton
Midnight Cry Stable
調教師 Steven Asmussen
競走成績
生涯成績 16戦11勝
獲得賞金 10,501,800ドル
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カーリン (Curlin) は、アメリカ合衆国競走馬種牡馬である。おもな勝ち鞍は2007年ブリーダーズカップ・クラシックプリークネスステークスジョッキークラブゴールドカップ2008年ドバイワールドカップ主戦騎手ロビー・アルバラード(英語版)

概要

2007年の年明けデビューながら圧勝を重ね、急遽「ケンタッキーダービーの新星現る」と注目を集めた。2007年のアメリカクラシック路線ケンタッキーダービー3着、プリークネスステークス1着、ベルモントステークス2着と常に上位に入り、その後古馬との初対戦となったジョッキークラブゴールドカップを制し、秋の大一番ブリーダーズカップ・クラシックも制覇した。

来歴

3歳(2007年)

2005年9月にキーンランドセプテンバーセールにて5万7000ドルで落札され、2007年2月のデビュー戦で12馬身4分の3の圧勝で初戦を飾る。この競走を見ていた複数の馬主(パドゥア・ステーブル、ストーンストリート・ステーブルら)が、ミッドナイト・クライ・ステーブルにトレードを申し込み複数による共同所有となった。トレード価格は350万ドルと推定されている。

その後、G3のレベルステークス、G2のアーカンソーダービーを連勝した。ともに圧勝であったため、「ケンタッキーダービーの新星現る」と注目を集め、同競走の前売り最終プール1番人気に支持され、当日にも2番人気に推されたが、ストリートセンス (Street Sense) に押し切られ3着と敗れる。しかし、プリークネスステークスではそのストリートセンスを直線ゴール手前で差し切り優勝。初G1制覇となった。

二冠目を狙うカーリンは、三冠最終戦のベルモントステークスに出走。ここではストリートセンスが回避したため6対5の抜けた1番人気に推されたが、牝馬路線からこちらに回ってきたラグズトゥリッチズ (Rags to Riches) との叩き合いに敗れ、102年ぶりの大偉業を尻目に2着に終わった。

3歳クラシック以後はブリーダーズカップ・クラシックを目標に調整され、ハスケル招待ハンデキャップ3着後、古馬との初対戦となったジョッキークラブゴールドカップではローヤーロンとの一騎討ちを制して1着となる。そして迎えた10月27日、ブリーダーズカップ・クラシック。ひさびさに顔合わせとなったストリートセンスや、ジョージワシントンなどが出走してきているなか4番人気に支持され、レースでは直線逃げ粘るハードスパンをかわし4馬身半の差をつけ快勝した。勝ち時計はトラックレコードにわずか0.19秒差という優秀なものだった。

4歳(2008年)

前年のブリーダーズカップ・クラシック制覇が評価され、2007年度のエクリプス賞年度代表馬に選ばれた。

2008年初戦はドバイワールドカップを見据えて、現地のハンデ戦に出走した。他馬とは約7キログラム差の60キログラムというハンデを背負ったが、直線であっさり抜け出すとそのまま後続に2と4分の1馬身差をつけて優勝。続く本番のドバイワールドカップでも、直線半ばで抜けだすと、あとは独走状態になり圧勝した。

帰国後は6月14日に行われたスティーブンフォスターハンデキャップに出走。4番手でレースを進め、直線半ばで先頭のアインシュタインを交わすと4と4分の1馬身差をつけて完勝した。

その勝利後、かねてより凱旋門賞への出走を検討していた陣営は、芝への適性を確かめるためカーリンを一度芝のレースへ出走させることとし、そのレースにマンノウォーステークスが選ばれた。なお、アメリカ調教馬が凱旋門賞に出走すること自体がまれであり、前年度のブリーダーズカップ・クラシック覇者となれば史上初である。しかしレースでは、スタートで出負けしたこともあり、2006年度ブリーダーズカップ・ターフの覇者であるレッドロックスをとらえきれず2馬身差の2着に敗れた。この結果により凱旋門賞への挑戦を断念、その後もダート戦線を進むことになり、ウッドウォードステークス、ジョッキークラブゴールドカップと連勝し、ジョッキークラブゴールドカップの勝利によって生涯獲得賞金でシガーを上回り北アメリカ史上最高となるとともに、北アメリカのサラブレッドとしては史上初の1000万ドルホースとなった。

10月25日、サンタアニタパーク競馬場で開催され、オールウェザーで行われたブリーダーズカップ・クラシックに出走、早めに抜け出し押し切りを狙うも後続に差されて4着に敗れた。馬主はオールウェザーにおいてカーリンが敗れたことに強い不満を抱いており、「二度とプラスチックの上では走らせない(プラスチックにはまがい物の意味がある)」と発言した。このレースを最後に現役を引退。

競走成績

出走日 競馬場 競走名 距離 着順 騎手 着差 1着(2着)馬
2007年02月03日 ガルフストリーム 未勝利 D7f 1着 R.ベハラーノ 12 3/4馬身 (Winstrella)
2007年03月17日 オークローンパーク レベルS G3 D8.5f 1着 R.アルバラード 5 1/4馬身 (Officer Rocket)
2007年04月14日 オークローンパーク アーカンソーダービー G2 D9f 1着 R.アルバラード 10 1/2馬身 (Storm in May)
2007年05月05日 チャーチルダウンズ ケンタッキーダービー G1 D10f 3着 R.アルバラード 8馬身 Street Sense
2007年05月19日 ピムリコ プリークネスS G1 D9.5f 1着 R.アルバラード アタマ (Street Sense)
2007年06月09日 ベルモントパーク ベルモントS G1 D12f 2着 R.アルバラード アタマ Rags to Riches
2007年08月05日 モンマスパーク ハスケル招待H G1 D9f 3着 R.アルバラード 4 1/2馬身 Any Given Saturday
2007年09月30日 ベルモントパーク ジョッキークラブGC G1 D10f 1着 R.アルバラード クビ (Lawyer Ron)
2007年10月27日 モンマスパーク BCクラシック G1 D10f 1着 R.アルバラード 4 1/2馬身 (Hard Spun)
2008年02月28日 ナドアルシバ ジャガートロフィー D2000m 1着 R.アルバラード 2 1/4馬身 (Familiar Territory)
2008年03月29日 ナドアルシバ ドバイWC G1 D2000m 1着 R.アルバラード 7 3/4馬身 (Asiatic Boy)
2008年06月14日 チャーチルダウンズ スティーブンフォスターH G1 D9f 1着 R.アルバラード 4 1/4馬身 (Einstein)
2008年07月12日 ベルモントパーク マンノウォーS G1 芝11f 2着 R.アルバラード 2馬身 Red Rocks
2008年08月30日 サラトガ ウッドウォードS G1 D9f 1着 R.アルバラード 1 1/4馬身 (Past the Point)
2008年09月27日 ベルモントパーク ジョッキークラブGC G1 D10f 1着 R.アルバラード 3/4馬身 (Wanderin Boy)
2008年10月25日 サンタアニタパーク BCクラシック G1 AW10f 4着 R.アルバラード 3馬身 Raven's Pass

※Hはハンデキャップ、Sはステークス、BCはブリーダーズカップ、WCはワールドカップ、GCはゴールドカップの略。また、招待はインビテーショナルを訳して表記。

受賞歴

  • 2007年度エクリプス賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬
  • 2008年度エクリプス賞年度代表馬、最優秀古牡馬

種牡馬時代

2009年よりレーンズエンドファームにて種牡馬となった。初年度の種付け料は75000ドル。2012年に初年度産駒がデビューすると、パレスマリスが翌年のベルモントステークスを制し、産駒の初重賞制覇をクラシックで達成する。2016年からHill 'n' Dale Farmsへ移動。

2019年ブリーダーズカップ・クラシックを産駒のヴィーノロッソが制し、オーサムアゲインゴーストザッパー父子以来二組目の同レース父子制覇を達成した[1]

2022年のエクリプス賞はMalathaatが最優秀古馬牝馬、Elite Powerが最優秀短距離牡馬、Nestが最優秀3歳牝馬を獲得。同一産駒の3賞受賞はエクリプス賞創設以来初の快挙[2]となった。2023年もCody's Wishが年度代表馬&最優秀古馬、Idiomaticが最優秀古馬牝馬、Elite Powerが最優秀短距離牡馬を受賞した。

2024年の種付け料の25万ドルはイントゥミスチーフガンランナーと並び北米最高額。

後継種牡馬も活躍しており、Keen Ice産駒のRich Strikeは2022年ケンタッキーダービー、Good Magic産駒のMageは2023年のケンタッキーダービー、Palace Malice産駒のジャンタルマンタルが朝日杯フューチュリティステークス、NHKマイルカップを制覇した。

主な産駒

GI級競走は太字で示す

母の父としての主な産駒

馬名の由来

馬名は南北戦争で戦った黒人奴隷チャールズ・カーリンに由来。最初の馬主であるシャーリー・カニンガム・ジュニアが彼のひ孫だったことにちなんでいる。

血統

カーリン血統ミスタープロスペクター系 / アウトブリード (血統表の出典)

Smart Strike
1992年 鹿毛
父の父
Mr. Prospector
1970年 鹿毛
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
父の母
Classy 'n Smart
1981年 鹿毛
Smarten Cyane
Smartaire
No Class Nodouble
Classy Quillo

Sherriff's Deputy
1994年 鹿毛
Deputy Minister
1979年 黒鹿毛
Vice Regent Northern Dancer
Victoria Regina
Mint Copy Bunty's Flight
Shakney
母の母
Barbarika
1985年 鹿毛
Bates Motel Sir Ivor
Sunday Purchase
War Exchange Wise Exchange
Jungle War F-No.19-c


脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Eric Mitchell (2019年11月2日). “Curlin Second Classic Winner to Sire a Classic Winner”. Bloodrhorse. 2019年11月15日閲覧。
  2. ^ グリーンチャンネル「スタリオンライブラリー」#33
  3. ^ “ガストリック”. JBISサーチ. 2022年11月19日閲覧。
  4. ^ “エンペラーワケア”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2024年1月28日閲覧。

外部リンク

  • 競走馬成績と情報 netkeiba、JBISサーチ、Racing Post
   

01回(1984年) アメリカ合衆国の旗 ワイルドアゲイン
02回(1985年) アメリカ合衆国の旗 プラウドトゥルース
03回(1986年) アメリカ合衆国の旗 スカイウォーカー
04回(1987年) アメリカ合衆国の旗 ファーディナンド
05回(1988年) アメリカ合衆国の旗 アリシーバ
06回(1989年) アメリカ合衆国の旗 サンデーサイレンス
07回(1990年) アメリカ合衆国の旗 アンブライドルド
08回(1991年) アメリカ合衆国の旗 ブラックタイアフェアー
09回(1992年) アメリカ合衆国の旗 エーピーインディ
第10回(1993年) フランスの旗 アルカング
第11回(1994年) アメリカ合衆国の旗 コンサーン
第12回(1995年) アメリカ合衆国の旗 シガー
第13回(1996年) アメリカ合衆国の旗 アルファベットスープ
第14回(1997年) アメリカ合衆国の旗 スキップアウェイ

第15回(1998年) アメリカ合衆国の旗 オーサムアゲイン
第16回(1999年) アメリカ合衆国の旗 キャットシーフ
第17回(2000年) アメリカ合衆国の旗 ティズナウ
第18回(2001年) アメリカ合衆国の旗 ティズナウ
第19回(2002年) アメリカ合衆国の旗 ヴォルポニ
第20回(2003年) アメリカ合衆国の旗 プレザントリーパーフェクト
第21回(2004年) アメリカ合衆国の旗 ゴーストザッパー
第22回(2005年) アメリカ合衆国の旗 セイントリアム
第23回(2006年) アメリカ合衆国の旗 インヴァソール
第24回(2007年) アメリカ合衆国の旗 カーリン
第25回(2008年) イギリスの旗 レイヴンズパス
第26回(2009年) アメリカ合衆国の旗 ゼニヤッタ
第27回(2010年) アメリカ合衆国の旗 ブレイム
第28回(2011年) アメリカ合衆国の旗 ドロッセルマイヤー

第29回(2012年) アメリカ合衆国の旗 フォートラーンド
第30回(2013年) アメリカ合衆国の旗 ムーチョマッチョマン
第31回(2014年) アメリカ合衆国の旗 バイエルン
第32回(2015年) アメリカ合衆国の旗 アメリカンファラオ
第33回(2016年) アメリカ合衆国の旗 アロゲート
第34回(2017年) アメリカ合衆国の旗 ガンランナー
第35回(2018年) アメリカ合衆国の旗 アクセラレート
第36回(2019年) アメリカ合衆国の旗 ヴィーノロッソ
第37回(2020年) アメリカ合衆国の旗 オーセンティック
第38回(2021年) アメリカ合衆国の旗 ニックスゴー
第39回(2022年) アメリカ合衆国の旗 フライトライン
第40回(2023年) アメリカ合衆国の旗 ホワイトアバリオ

   

国際G1昇格前:
01回(1996年) アメリカ合衆国の旗 シガー
02回(1997年) イギリスの旗 シングスピール

国際G1昇格後:
03回(1998年) アメリカ合衆国の旗 シルバーチャーム
04回(1999年) アラブ首長国連邦の旗 アルムタワケル
05回(2000年) アラブ首長国連邦の旗 ドバイミレニアム
06回(2001年) アメリカ合衆国の旗 キャプテンスティーヴ
07回(2002年) アラブ首長国連邦の旗 ストリートクライ
08回(2003年) アラブ首長国連邦の旗 ムーンバラッド

09回(2004年) アメリカ合衆国の旗 プレザントリーパーフェクト
第10回(2005年) アメリカ合衆国の旗 ロージズインメイ
第11回(2006年) アラブ首長国連邦の旗 エレクトロキューショニスト
第12回(2007年) アメリカ合衆国の旗 インヴァソール
第13回(2008年) アメリカ合衆国の旗 カーリン
第14回(2009年) アメリカ合衆国の旗 ウェルアームド
第15回(2010年) フランスの旗 グロリアデカンペオン
第16回(2011年) 日本の旗 ヴィクトワールピサ
第17回(2012年) アラブ首長国連邦の旗 モンテロッソ
第18回(2013年) アメリカ合衆国の旗 アニマルキングダム
第19回(2014年) アラブ首長国連邦の旗 アフリカンストーリー

第20回(2015年) アラブ首長国連邦の旗 プリンスビショップ
第21回(2016年) アメリカ合衆国の旗 カリフォルニアクローム
第22回(2017年) アメリカ合衆国の旗 アロゲート
第23回(2018年) アラブ首長国連邦の旗 サンダースノー
第24回(2019年) アラブ首長国連邦の旗 サンダースノー
第25回(2020年) 開催中止
第25回(2021年) アメリカ合衆国の旗 ミスティックガイド
第26回(2022年) アメリカ合衆国の旗 カントリーグラマー
第27回(2023年) 日本の旗 ウシュバテソーロ
第28回(2024年) アラブ首長国連邦の旗 ローレルリバー