K-ROCK (韓国の音楽)

K-ROCK (Korean Rock) は、大韓民国内におけるロックンロール、ロック音楽を示す表現。

歴史

韓国のロックは、1950年代後半に、在韓米軍がもたらしたアメリカのGI文化を吸収する形で、ギタリストで作曲家の申重鉉（シン・ジュンヒョン）（朝鮮語版）とそのバンドによって始められた^[1]。申重鉉は、韓国独自のスタイルによるロックンロールを発展させることができた。申重鉉は1962年に、韓国最初期のロック・バンドの代表的存在であるエド・フォー (Add 4) を結成し^[2]、1964年にリリースした「雨の中の女人」は韓国語ロックの原点として評価されている^[3]。

1970年代には、これらのプロテストソングは朴正煕軍事政権から厳しい検閲を受けた^[4]。申重鉉は、薬物乱用の咎で投獄された。韓大洙（ハン・デス）は、アルバム2枚が発売を禁じられた後に、自ら母国を去ってニューヨークへ移り住んだ。申重鉉の投獄は、韓国のロックの制作活動を低調なものとしたが、他のアーティストたちの中には、サヌリム（朝鮮語版）のように、1980年代に韓国のポピュラー音楽界をダンス音楽が席巻する前の1970年代後半から台頭した者もいた。

1980年代に入ると、ポピュラー音楽の嗜好は、ロックから離れてしまった。ロックのシーンはヘヴィメタルが支配し、特に復活（ブファル）、ペクトゥサン（朝鮮語版）、シナウィ（朝鮮語版）が「ビッグ3」と称された^[5]。

1990年代はじめ、盧泰愚大統領以降の民主化を経て、ロック音楽は復活した。国外からの情報は、以前より事由に流入するようになり、韓国の若者たちは短期間のうちに数十年分の外国のポピュラー音楽に接することとなり、自らバンドを始める者もいた^[6]。クラインナッツ（朝鮮語版）とノーブレイン（朝鮮語版）の2つのバンドがいち早く登場し、多様なジャンルを取り込んで混合させた「朝鮮パンク (Chosun Punk)」と称する音楽が、クラブ・ドラッグ (Club Drug) の経営もしていたインディレーベル、ドラッグ・レコード (Drug Records) を中心に広がった。グローバリゼーションの進行とインターネットの普及によって、音楽シーンは多様化が進むとともに、より多くのスタイルを組み込むようになった。1990年代後半には、いよいよ多様な音楽的影響が現れ、ラックス（朝鮮語版）などの若い世代のバンドが登場し、ザ・ギークス（朝鮮語版）は、韓国にストレート・エッジ系のハードコア・パンクを紹介した。スカ・パンクも早くから大きな影響を与えており、Lazybone や Beach Valley といったバンドを生んでいる。2006年には、スカサックス（英語版）が結成され、韓国におけるスカ・パンクの動きを牽引するようになった。

日本への紹介

K-POPに比べれば規模は限られているが、K-ROCKは日本にも各種のプロモーション活動や公演を行なうようになっている^[7]。

近年では、ユン・ドヒョン（朝鮮語版）が率いるYB (バンド)（朝鮮語版）が、代表的バンドとして日本にも紹介されている^[8]。

韓国のロック・フェスティバル

脚注

^ 金成玟(2024) p.45
^ 한국 락-Rock의 역사
^ 金成玟(2024) p.46
^ 金成玟(2024) p.46
^ “Discovering Korean Metal: A Rocky Road”. Seoul Beats. (2012年6月7日). http://seoulbeats.com/2012/06/discovering-korean-metal-a-rocky-road/ 2014年2月18日閲覧。
^ Dunbar, Jon (2013年2月22日). “Stephen Epstein: Korea's indie rock scholar”. Korea.net. http://www.korea.net/NewsFocus/People/view?articleId=105795 2014年2月18日閲覧。
^ ユン・ソルジ (2012年12月2日). “K-ROCKは韓流の波に乗れるだろうか?”. Kstyle. 2015年8月1日閲覧。
^ “K-ROCKの至宝YB、ついに来日” (2012年2月23日). 2015年8月1日閲覧。