リーマンのクシー関数

複素平面におけるリーマンのクシー関数 ξ(s). 点 s の色は関数の値を表している。より暗い色は 0 により近い値を表し、色相は値の偏角を表す。

数学において、リーマンのクシー関数(リーマンのクシーかんすう、: Riemann Xi function)はリーマンのゼータ関数の変形で、とりわけ単純な関数等式をもつように定義される。関数はベルンハルト・リーマンに敬意を表して名づけられている。

定義

リーマンのもともとの小文字のクシー関数、ξエトムント・ランダウによって大文字のクシー Ξ に改名された(下記参照)。ランダウの小文字クシー ξ は次のように定義される[1]sC に対して

ξ ( s ) = 1 2 s ( s 1 ) π s / 2 Γ ( 1 2 s ) ζ ( s ) . {\displaystyle \xi (s)={\frac {1}{2}}s(s-1)\pi ^{-s/2}\Gamma \left({\frac {1}{2}}s\right)\zeta (s).}

ここで ζ(s)リーマンのゼータ関数を表し、Γ(s)ガンマ関数である。クシーの関数等式(あるいは reflection formula(英語版))は

ξ ( 1 s ) = ξ ( s ) {\displaystyle \xi (1-s)=\xi (s)}

である。大文字のクシー Ξ は Landau (loc. cit., §71) によって

Ξ ( z ) = ξ ( 1 2 + z i ) {\displaystyle \Xi (z)=\xi \left({\frac {1}{2}}+zi\right)}

と定義され、関数等式

Ξ ( z ) = Ξ ( z ) {\displaystyle \Xi (-z)=\Xi (z)}

をもつ。Landau (loc. cit., p. 894) によって報告されているようにこの関数 Ξ はリーマンがもともと ξ によって表記した関数である。

偶数に対する一般式は

ξ ( 2 n ) = ( 1 ) n + 1 1 ( 2 n ) ! B 2 n 2 2 n 1 π n ( 2 n 2 n ) ( n 1 ) ! {\displaystyle \xi (2n)=(-1)^{n+1}{\frac {1}{(2n)!}}B_{2n}2^{2n-1}\pi ^{n}(2n^{2}-n)(n-1)!}

である、ただし Bnn 番目のベルヌーイ数を表す。例えば

ξ ( 2 ) = π 6 {\displaystyle \xi (2)={\pi \over 6}}

である。

級数表現

クシー関数は級数展開

d d z log ξ ( z 1 z ) = n = 0 λ n + 1 z n {\displaystyle {\frac {d}{dz}}\log \xi \left({\frac {-z}{1-z}}\right)=\sum _{n=0}^{\infty }\lambda _{n+1}z^{n}}

をもつ、ただし

λ n = 1 ( n 1 ) ! d n d s n [ s n 1 log ξ ( s ) ] | s = 1 = ρ [ 1 ( 1 1 ρ ) n ] {\displaystyle \lambda _{n}={\frac {1}{(n-1)!}}\left.{\frac {d^{n}}{ds^{n}}}\left[s^{n-1}\log \xi (s)\right]\right|_{s=1}=\sum _{\rho }\left[1-\left(1-{\frac {1}{\rho }}\right)^{n}\right]}

であり、この和はゼータ関数の非自明な零点 ρ|Im(ρ)| の順番で渡る。

この展開は Li's criterion(英語版) においてとりわけ重要な役割を果たす。その主張は、リーマン予想はすべての正の n に対して λn > 0 であることと同値であるというものである。

アダマール積

単純な無限積展開は

Ξ ( s ) = Ξ ( 0 ) ρ ( 1 s ρ ) , {\displaystyle \Xi (s)=\Xi (0)\prod _{\rho }\left(1-{\frac {s}{\rho }}\right),\!}

ただし ρξ の根を走る。

展開の収束を保証するには、積は零点の "matching pairs" 上でとられなければならない、すなわち ρ1 − ρ の形の零点のペアの因子は一緒にグループされなければならない。

関連項目

脚注

  1. ^ Edmund Landau. Handbuch der Lehre von der Verteilung der Primzahlen, Teubner, Leipzig 1909. Third edition Chelsea, New York, 1974, §70.

関連文献

  • Weisstein, Eric W. "Xi-Function". mathworld.wolfram.com (英語).
  • Keiper, J.B. (1992). “Power series expansions of Riemann's xi function”. Mathematics of Computation 58 (198): 765–773. Bibcode: 1992MaCom..58..765K. doi:10.1090/S0025-5718-1992-1122072-5. 

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