マルス3号

マルス3号(オービター)
マルス3号のオービター
マルス3号のオービター
所属 ソビエト連邦
国際標識番号 1971-049A
カタログ番号 05252
状態 運用終了
目的 火星探査
観測対象 火星
計画の期間 1971年5月28日 - 1972年8月22日
打上げ機 プロトンKブロックD
打上げ日時 1971年5月28日
15時26分30秒(UTC
軌道投入日 1971年12月2日
物理的特長
質量 3,440 kg
周回対象 火星
近点高度 (hp) 211,400 km
遠点高度 (ha) 1,500 km
離心率 (e) 0.95548
軌道傾斜角 (i) 60°
軌道周期 (P) 12.79日
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マルス3号(ランダー)
マルス3号のランダー
モスクワ宇宙飛行士記念博物館に展示されるマルス3号のランダーの模型
所属 ソビエト連邦
国際標識番号 1971-049F
カタログ番号 05252
状態 運用終了
目的 火星探査
観測対象 火星
軟着陸日 1972年12月2日
通信途絶日 1972年12月2日
物理的特長
質量 1,210 kg
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マルス3号(Mars 3)は、1960年から1973年に行われたソビエト連邦マルス計画の無人の探査機である。マルス3号は、双子機のマルス2号の打上げの9日後に打ち上げられた。両探査機は、オービターとランダーから構成される全く同一の構造である。マルス2号が火星表面に衝突着陸した後、マルス3号のランダーは、火星表面に軟着陸する最初の探査機となった。両機ともプロトンKロケットのブロックD上段ステージに搭載されて打ち上げられた。

諸元

  • 打上げ日時:1971年5月28日15時26分30秒(UTC)
  • 打上げ時質量(燃料含):
    • 合計:4,650 kg
    • オービター:3,440 kg
    • ランダー:1,210 kg
  • 軌道上乾質量:2,265 kg
  • 大きさ:高さ4.1m、幅2m(太陽電池展開時には5.9m)

設計

マルス2号」も参照

マルス3号はマルス2号と同一の設計を用いている。探査機は火星周回軌道上から観測を行うオービターと、火星表面に降下するランダーから構成され、オービターは火星軌道に乗る直前にランダーを火星へ向けて切り離した。

オービター

オービターは、燃料の一部を喪失し、計画された25時間の軌道に入ることはできなかった。その代わり、かなり離心率の大きい長周期(12日19時間)の軌道に変更されることになった。

マルス3号のオービターは、1971年12月から1972年3月にかけての大量のデータを送り返してきた。伝送は8月まで続いた。1972年8月22日には、火星を20周し、マルス3号がミッションを終えたことが発表された。マルス2号と併せて、撮影した画像は60枚に及んだ。

ランダー

マルス3号の降下モジュールは、1971年12月2日9時14分(UTC)、火星への到着の4時間35分前に放出された。降下モジュールは、約5.7km/sの速度で火星の大気圏に突入した。空力ブレーキ、パラシュート、逆推進ロケットによってランダーは南緯45°西経158°の地点に軟着陸し、運用を開始した。

14.5秒後の13時52分25秒に両方のデータチャンネルからの伝送が未知の理由によって停止し、以降の火星から地球への信号は届かなかった。この故障がランダーのものかそれとも中継点のオービターのものかは不明である。故障の原因は、当時発生していたコロナ放電を伴う非常に強力な火星の嵐が通信システムに損傷を与えたことによるものである可能性がある。画像の露光が少ないのもこの嵐で説明できる。

唯一、70走査線の部分的な画像が伝送された。この画像は地平線と暗い空を写したものであったが、円形パノラマカメラで撮影された。これは、写真の視野を補正するために写真を時計回りに90°回転させなければならないことを意味する。ソビエト科学アカデミーによると、この写真では地平線とその他が識別できない。マルス3号のランダーからは、意味のあるデータは何も送られてこなかった[1]

ランダーの再発見

2013年、アメリカ航空宇宙局 (NASA) は火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービター (MRO) がマルス3号着陸点付近を写した画像の中に、マルス3号のランダーと思われる物体を発見したと発表した。この物体は、2012年12月に、ロシア人の宇宙ファンを中心としたインターネット上のコミュニティが、2007年撮影のMROの画像を調査して発見した。報告を受けたNASAは2013年3月に同地点を再撮影して4月に公表した[2]

2007年と2013年に撮影された2枚の画像には、それぞれパラシュート、逆噴射ロケット、ランダー本体、断熱シールドとみられる4つの物体が写っている。これらのサイズや形状はマルス3号と矛盾なく一致する。ただし2013年4月現在ではマルス3号だとの確証には至っていない[2]

着陸場所

Map of Marsen:Acheron Fossaeアキダリア平原アルバ・パテラアマゾニス平原en:Aonia Planitiaen:Arabia Terraアルカディア平原en:Argentea Planumen:Argyre Planitiaen:Chryse Planitiaen:Claritas Fossae火星の人面岩en:Daedalia Planumエリシウム山エリシウム平原ゲールクレーターen:Hadriaca Pateraen:Hellas Montesヘラス平原en:Hesperia PlanumHolden crateren:Icaria Planumen:Isidis PlanitiaジェゼロクレーターLomonosov crateren:Lucus Planumen:Lycus SulciLyot crateren:Lunae PlanumMalea PlanumMaraldi crateren:Mareotis FossaeMareotis Tempeen:Margaritifer TerraMie craterMilankovič crateren:Nepenthes Mensaeen:Nereidum Montesen:Nilosyrtis Mensaeen:Noachis Terraen:Olympica Fossaeオリンポス山アウストラレ高原en:Promethei Terraen:Protonilus Mensaeen:SirenumSisyphi Planumen:Solis Planumen:Syria Planumen:Tantalus Fossaeen:Tempe Terraen:Terra Cimmeriaen:Terra Sabaeaen:Terra Sirenumタルシス三山en:Tractus Catenaen:Tyrrhen Terraユリシーズ・トーラスen:Uranius Pateraユートピア平原マリネリス峡谷en:Vastitas Borealisen:Xanthe Terra
The image above contains clickable links火星の世界的な地形のインタラクティブな画像地図。画像の上にマウスを置くと、60を超える著名な地理的特徴の名前が表示され、クリックするとリンクする。ベースマップの色は、NASAのマーズグローバルサーベイヤーのマーズオービターレーザー高度計からのデータに基づいて、相対的な標高を示す。白色と茶色は最も標高が高い。(+12 to +8 km); ピンクと赤が続く。(+8 to +3 km)。黄色は0 km。緑と青は標高が低い(down to −8 km)。軸は緯度と経度。
(See also: 火星地図; 火星記念地図 / リスト)
(   アクティブローバー  非活性  アクティブランダー  非活性  将来 )
Beagle 2
Beagle 2 (2003)
Bradbury Landing
Curiosity (2012)
Deep Space 2
Deep Space 2 (1999)
Columbia Memorial Station
Rosalind Franklin rover (2023)
InSight Landing
InSight (2018)
Mars 2
Mars 2 (1971)
Mars 3
Mars 3 (1971)
Mars 6
Mars 6 (1973)
Mars Polar Lander
Polar Lander (1999)
Challenger Memorial Station
Opportunity (2004)
Mars 2020
Perseverance (2021)
Green Valley
Phoenix (2008)
Schiaparelli EDM
Schiaparelli EDM (2016)
Carl Sagan Memorial Station
Sojourner (1997)
Columbia Memorial Station
Spirit (2004)
Zhurong (2021)
Thomas Mutch Memorial Station
Viking 1 (1976)
Gerald Soffen Memorial Station
Viking 2(1976)

ギャラリー

  • マルス3号から送られてきた唯一の画像
    マルス3号から送られてきた唯一の画像
  • MROが撮影したマルス3号ランダーの可能性がある物体
    MROが撮影したマルス3号ランダーの可能性がある物体

出典

  1. ^ Pyle, Rod (2012). Destination Mars. Prometheus Books. pp. 73-78. ISBN 978-1-61614-589-7 
  2. ^ a b “旧ソ連の火星探査機「マルス3号」とみられる物体を発見”. AstroArts. (2013年4月16日). https://www.astroarts.co.jp/news/2013/04/16mars/index-j.shtml 2013年4月17日閲覧。 

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、マルス3号に関連するメディアがあります。
  • NASA's mars probe website
  • Ted Stryk's page on the Mars 3 Probe
  • TASS notice on the Mars-3 landing (in Russian) (Wikisource)
  • "The Rocky Soviet Road to Mars" by Larry Klaes - EJASA October, 1989[リンク切れ]
  • "The Difficult Road to Mars" By V.G Perminov
フライバイ
1970年代まで
1980年代以降
オービター
1970年代まで
1980年代以降
ランダー
ローバー
航空機
計画段階
  • サイキ(英語版) (2023年)
  • マーズ・オービター・ミッション 2(英語版) (2024年)
  • エクソマーズ2020 (2024年)
  • MMX (2026年)
  • TEREX-1 未定
  • TEREX-2 未定
構想段階
関連項目
  • 太字は現役の宇宙機を示す
  • ポータル宇宙開発
  • カテゴリカテゴリ