マリア・ブラウンの結婚

マリア・ブラウンの結婚
Die Ehe der Maria Braun
監督 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
脚本 ペーター・メルテスハイマ―(ドイツ語版)
ペア・フレーリッヒ(ドイツ語版)
原案 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演者 ハンナ・シグラ
音楽 ペール・ラーベン(ドイツ語版)
撮影 ミヒャエル・バルハウス
編集 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
ユリアーネ・ローレンツ(ドイツ語版)
配給 日本の旗 フランス映画社
公開 西ドイツの旗 1979年2月20日BIFF
日本の旗 1980年2月2日
上映時間 120分
製作国 西ドイツの旗 西ドイツ
言語 ドイツ語
製作費 DEM 1,975,000
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マリア・ブラウンの結婚』(: Die Ehe der Maria Braun: The Marriage of Maria Braun)は、1979年に、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督によって制作されたドイツの映画である。この作品と1981年の『ローラ』、1982年の『ベロニカ・フォスのあこがれ』の3本でファスビンダーの「西ドイツ三部作(BRD Trilogy)」とも呼ばれる[1]

第29回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映、マリア・ブラウンを演じた主演のハンナ・シグラが銀熊賞 (女優賞)を受賞した。世界的にヒットし、興行収入は2千万マルクに達した[2]。ファスビンダー監督の国際的評価を一躍高めたニュー・ジャーマン・シネマの代表作とされる[3][4]

ストーリー

1943年第二次世界大戦後期、混乱するベルリンでマリアとヘルマンは爆撃下の戸籍登記所で略式の結婚式を上げた。しかし半日と一夜を共に過ごした後、ヘルマンは戦場へと向かってしまう。戦争が終わってもヘルマンは還ってこなかったがマリアは夫の生存を信じて尋ね人のプラカードを背負って駅に通う。

闇市で物資を調達するだけでは足りず、マリアはアメリカ占領軍のG.Iバーにホステスの職を得る。親友ベティの夫ウィリーは無事に戻ってくるが、ヘルマンは戦死したと告げられる。マリアは黒人兵ビルの愛を受け入れ妊娠する。ある日彼女のベッドに二人がいるところに、死んだと思われていたヘルマンが帰還してくる。ビルに立ち向かうヘルマンの姿を見てマリアは放心状態のまま酒瓶でビルを殴り殺してしまう。米軍兵士殺害の罪でマリアの尋問が行われ、ヘルマンが彼女の罪を被ってビル殺害を自白して投獄される。マリアは牢獄を訪れ、夫の出所を待ち、生活の基盤を準備するために働くことを誓う。子供は堕胎した。

マリアは列車の中で繊維業者のオズワルトと知り合い、英語を武器に秘書兼愛人として戦後復興の中を成り上がっていく。マリアはオズワルトとの関係も夫に報告する。しかしヘルマンのことを知らないオズワルトは週末ごとに姿を消すマリアの行く先を突き止めヘルマンの存在を知る。そして彼らはマリアを巡ってある契約を交わす。

突然ヘルマンの出所が決まり慌てるマリアだったが、夫は彼女の前には現れずに行方をくらませる。そして心臓に疾患を持っていたオズワルトもある日急死してしまう。一軒家を買い孤独に暮らすマリアの元へ夫が急に還ってくる。これでようやく二人の結婚生活が再開できると思われたその日、オズワルトの遺言が開封され、オズワルトとヘルマンは合意の上でマリアを共有していた事が明かされる。

1954年ドイツは再軍備し、サッカーのワールドカップで世界チャンピオンになった日にマリアの結婚生活は、事故とも故意ともつかぬガス爆発で幕を閉じた。

キャスト

備考

  • 日本公開当時のキャッチコピーは「ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才ファスビンダーの新しい傑作」「過去はひとつなのに ふたりの男性から愛されて… ドイツ戦後の夢を 結婚に生きつづけるマリア」であった[5]

脚注

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  1. ^ 堀切日出晴 (2019年4月18日). “ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作 西ドイツ三部作『マリア・ブラウンの結婚』『ベロニカ・フォスのあこがれ』『ローラ』【クライテリオンNEWリリース】”. Stereo Sound ONLINE. 2023年2月22日閲覧。
  2. ^ W・リマー 1983, p. 45.
  3. ^ “ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー映画祭2014/上映作品解説”. アテネ・フランセ文化センター (2014年). 2023年2月19日閲覧。
  4. ^ “マリア・ブラウンの結婚”. 武蔵野美術大学 美術館・図書館 イメージライブラリー所蔵 映像作品データベース. 武蔵野美術大学. 2023年2月20日閲覧。
  5. ^ “マリア・ブラウンの結婚”. 映画チラシサイト. 2023年2月20日閲覧。

参考文献

  • ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 著、明石政紀 訳『映画は頭を解放する』勁草書房、1998年(原著1984年)。ISBN 4-326-85155-4。 
  • ヴォルフガング・リマー 著、丸山匠 訳『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー : ニュー・ジャーマン・シネマの旗手』欧日協会(発売 新紀元社)、1983年(原著1981年)。 

外部リンク


映画
  • This Night (1966)
  • Der Stadtstreicher(宿なし(都会の放浪者)) (1966)
  • 小カオス(ドイツ語版) (1966)
  • 愛は死より冷酷(英語版) (1969)
  • 出稼ぎ野郎(英語版) (1969)
  • 悪の神々(英語版) (1970)
  • 何故R氏は発作的に人を殺したか?(英語版) (1970)
  • アメリカの兵隊 (英語版) (1970)
  • ホワイティ(英語版) (1971)
  • 聖なるパン助に注意(英語版) (1971)
  • 四季を売る男 (英語版) (1971)
  • ペトラ・フォン・カントの苦い涙 (1972)
  • 不安は魂を食いつくす (1974)
  • エフィ・ブリースト(英語版) (1974)
  • 自由の代償 (1975)
  • キュスタース小母さんの昇天(英語版) (1975)
  • 悪魔のやから(英語版) (1976)
  • シナのルーレット(英語版) (1976)
  • 秋のドイツ(英語版) (1978)
  • デスペア 光明への旅 (1978)
  • 13回の新月のある年に(英語版) (1978)
  • マリア・ブラウンの結婚 (1979)
  • 第三世代(英語版) (1979)
  • リリー・マルレーン(英語版) (1981)
  • シアター・イン・トランス(フランス語版) (1981)
  • ローラ(英語版) (1981)
  • ベロニカ・フォスのあこがれ (1982)
  • ケレル (1982)
テレビ
  • リオ・ダス・モルテス(英語版) (1971)
  • インゴルシュタットの工兵隊(ドイツ語版) (1971)
  • ブレーメンの自由(ドイツ語版) (1972)
  • 八時間は一日にあらず(英語版) (1972-73)
  • あやつり糸の世界(英語版) (1973)
  • マルタ(英語版) (1974)
  • 少しの愛だけでも(英語版) (1976)
  • 哀れなボルヴィーザー(ドイツ語版) (1977)
  • ベルリン・アレクサンダー広場(英語版) (1980; ミニシリーズ)
その他

西ドイツ三部作(英語版)

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